JR船上でのアウトリーチ活動について

JR船上でのアウトリーチ活動について

海洋研究開発機構の諸野です。海底下の微生物の研究をしています。Expedition 357アトランティスマッシフ掘削航海に乗船し、乗船ブログを書いて以来3年ぶりの登場です、よろしくお願いします。 さて、ブログ第二弾です。山中さんが書いてくださってからずいぶん時間が経ってしまいました。前回のブログで掘削が始まったばかりだったサイトでの掘削作業は終了し、2キロメートルほど離れた二番目の掘削サイトでの掘削が進行中です。今回の掘削サイトでは、海底下の地層に染み出してきたマグマ(シル)を貫いてその下の地層まで掘削する予定です。海底下に染み出してきたマグマやその下の地層がどうなっているのか、地質学者をはじめ僕ら微生物学者も実際の試料が上がってくるのを心待ちにしています。 今回の掘削航海はアメリカの掘削船、ジョイデスレゾレリューション(JR)号で実施されるというのは前回のブログでも紹介されましたが、船上でのアウトリーチ(一般の方々への広報)活動がとても盛んです。今回はそれについて紹介したいと思います。 船上には、アウトリーチ専門のスタッフとしてロドリゴさんが乗船しています。JRでは衛星回線を通じてインターネットに接続しています(ですが、陸上のような高速回線ではなく、限られたパソコンでのみ接続が許可されているので、乗船者は自分のパソコンからインターネットにつなぐことが出来ないのです。ここしばらくの間で日本のニュースが全く分からなくなりました・・・)。この衛星インターネットを通じ、ZOOMというツールを使って陸上とライブ接続を行います。接続先は様々ですが、小学校だったり、中学校だったり、博物館だったり、世界中の色んなところから接続の申し込みがあり、平日はほぼ毎日接続の予約が入っています。それだけではなく、SNSなどのツールも使って航海の模様を配信しているので、ロドリゴさんは毎日大忙しです。これまでに、既に15回の接続を行ったそうです。日本との接続も予定されています。接続の詳細や予約については下記のサイトから(英語ですが)見ることが出来ます。ご興味のある学校関係者の方々、予約してみてはいかがでしょうか?日本人二人も乗船していますので、解説は日本語でも可能ですよ!! https://joidesresolution.org/live-video-events-with-the-joides-resolution/ https://joidesresolution.org/wp-content/uploads/2017/09/LiveVideoBroadcast-Instructions.pdf https://calendar.google.com/calendar/embed?src=thejoidesresolution@gmail.com&ctz=America/San_Franciso さて、昼ごはんの時間です。中国人のグアンシャオさんが「ユウキ、はやく!行くよ!」と急かすので、食事に行ってきたいと思います。では! This blog post appeared first on Oct 15, 2019 here.

ワイマス海盆(Guaymas Basin)は憧れの地でした

ワイマス海盆(Guaymas Basin)は憧れの地でした

年寄りが先陣を切って乗船レポートを書かせて頂きます。IODP(実際にはJ-DESC)とは大変に長いお付き合いなのですが、乗船研究者として実際にIODPのexpeditionに参加するのはこれが初めてです。今回は私にとって思い入れのあるワイマス海盆への掘削航海ということで、頑張って参加にこぎ着けました。 今回乗船するのは「ちきゅう」ではなく、「JOIDES Resolution号」(略してJR号、写真1)です。米国のUSIOが運用する船で科学掘削の長い歴史を持ちます。米国が運用する船ですが、数年先までスケジューリングされた多くのexpeditionをこなすため、まさに世界の海を巡っており、今回の上下船地となったサンディエゴはJR号にとって約20年ぶりの米国本土の港への着岸となったとのことです。 私が参加する航海(IODP Exp.385 ワイマス海盆のテクトニクスと生物圏)は南北に長いカリフォルニア湾の中心付近にあるワイマス海盆を研究対象としていますが、カリフォルニア湾海底には東太平洋海膨の北端にあたる海嶺の拡大軸が存在します。そのため、海洋底拡大に伴うマグマの貫入が盛んに起こるわけですが、湾内ということで堆積物の供給が多く、拡大軸が厚い堆積層で覆われています。そこでは、マグマが堆積層中にシル(sill)として貫入している場所が多くあるのですが、そのシルによって駆動される熱水活動があり、熱水と堆積物の相互作用が活発です。この様な場所で、石油に酷似した炭化水素(熱水性石油)が熱水と堆積有機物の相互作用で生成するのですが、それが世界で初めて発見されたのがこの海域です。私も大学院生だったとき、鹿児島湾で北西太平洋域の海底熱水系では初めての熱水性石油の生成現場を発見しましたので、ワイマス海盆の研究は沢山読ませて頂きました。そういった思い入れのある場所に実際自分が掘削航海に参加できて大変嬉しく思っています。 自分のことばかり書きましたが、9月17日にExp. 385参加者がサンディエゴでJR号に乗船、5日間のport callの後、22日の朝に出航。カリフォルニア半島の太平洋側に沿って南下し湾内に入り27日から掘削が始まり、現在2日目を迎えたところです。乗船してからport callの間は参加者全員でexpeditionの目的や各自の研究内容について話し合い、出港後は各自試料を受け入れるためのラボの準備に忙しく過ごしました。幸い、この間大変天候に恵まれ穏やかな海況の元、掘削を始められています。 This blog post appeared first here on Sep. 30, 2019.